丸本 尚代: 2008年7月アーカイブ
最近請け負った仕事に、ある施設の食事管理システムのリストラクチャー(再構築)があります。
どこから手をつけるか、まずはスタッフと面接です。
そこの栄養士2人はとても自信なさげで、なりたい未来像ややりたいことがはっきり出てきません。
まだどちらも20代なのになんなんだろうこの覇気のなさは、と心配になってきました。
でも面接を続けているうちに、そのくじけている原因がわかってきました。
前の上司(退職した管理栄養士)から、献立作りに対して能力がないと言われていたらしいのです。
過去に立てた献立をざっと眺めてみて、なぜダメだしされたのか本人たちに理由を尋ねてみました。
すると、あまり納得いかない表情を浮かべ「あまり良くわからないのですが、こんな風に言われました・・・」
私は「それで?」と質問をいくつか続けました。
しばらく会話した後、私の口から出たのが「ん~・・・、そっかぁ。大変だったね。あなたたち」。
彼らが管理栄養士から言われたことは、まぁ、どこにでもありがちなものでしたがとても問題と感じました。
何が問題か、ってまず彼らが言われたことに対して納得していないこと。
それからダメだしが続いたことで、自分たちは能力がないと思わされてしまっていること。
おかげで2人とも20代なのに表情がかたく、仕事に対するモチベーションがすっかり下がっています。
これですべてが解決するとは思いませんが、やはり彼らに自信を取り戻してもらうことが最優先だと判断。
自信を失う元になったのが献立なので、「まずは献立作りからやりましょう」と提案しました。
でも、疑心暗鬼おちいっていたんですね。
私が「大丈夫、すぐに作れるようになるから」と言っても返事が「はぁ」。
ただ、「やり方がわからなかっただけだから。能力がないわけじゃないよ」と伝えたときは、
1人が、「調理師さんたちも、私たちが献立作れないって思ってます。
自分でもダメなんじゃないかと感じてます」って答えてくれました。
・・・その答えのあまりのせつなさに、ちょっと目がうるんでしまいました(;_;)
それから数日後、パソコンを前にして2人に献立作りのポイントを教える時間を取りました。
途中からは、自分で考えて献立作成ソフトに入力をしてもらいます。
私の「この料理の塩分濃度は何%?」や「じゃが芋の分量は適当?」などの質問に答える声が
だんだんとはっきりしてきて、時々はっとひらめいたような表情をします。
途中で厨房に入って、計量カップを持たせ水を入れ、汁椀がどれくらいの容量なのか、
そしたら汁を盛りつけるのに、複数あるレードル(お玉)はどれを使うのが適当なのか
鍋で煮物を作るとき、水分はどれくらい入れたらよいのか、一つ一つ検証していきます。
始めて1時間半もしたころ、2人の表情が少し活気を取り戻してきているように見えました。
今までわからなかったことが見え、手ごたえを感じたのかもしれません。
まだ20代の彼らがこれから自信をつけて、今後自分の可能性を見つけてくれるといいな~と
ちょっと希望を持てた時間でした♪
今回は時間ぎりぎりまで教えることに費やしたので、フィードバックはもらってきませんでした。
次回はもらってくるつもりです。
健康保険組合と契約しているある企業による、特定保健指導の研修に参加しました。
ロールプレイは、メタボの会社員に管理栄養士が指導をするというパターン。
2人一組になって、管理栄養士と指導を受けに来た会社員とに分かれます。
私とペアを組んでくれたのは、電話による指導を9ヶ月やっているという方。
指導については私より経験がある方だったので、参考にさせてもらおうとまず、
私が会社員役を選びました(以下、会社員の私は「僕」)。
どんな風に行動変容を起こさせてくれるのだろう、と期待に満ちていましたが
僕がおとなしくて受身だからいけなかったんでしょうかね。
最初から検査結果で数値の悪いところを指しながら、低い声で、
「あなたはここが問題です」「ここも問題です」「問題なのはこの数字です」と
25分の間に10回も「問題」を繰り返し言われてしまいました(><)
「その数値がどんな意味があるのですか?」と質問しましたら、
「このままだと○○になって○○で問題なんです。」とまた「問題」発言。
僕は、「このまま病気になるのは、ちょっと怖いなぁ」という気にさせられました...
あ、でも、もしかしてこれが目的だったんでしょうか!?
『怖がらせて行動変容させる』という古典的な指導パターン...
ん~、確かに効き目はありそうです。
昔、僕のばあちゃんが糖尿病と診断されて、
医者から「足を切ることになる」と言われ甘いものを食べなくなりましたもん。
ばあちゃんと同じになったら怖いなぁ。
やっぱり夜寝る前のおやつは止めるべきかもね。
でも僕は、あんまり素直な気分にはなれませんでした。
だって僕はメタボだけど、まだ病気じゃないし。
それに、あの管理栄養士さんにまた指導してもらおうとは思わないなぁ。
・・・メタボ会社員の立場になって、いろいろ考えさせられた一日でした。
私も今回学んだことを振り返って、特定保健指導を行いたいと思います。
成果が問われる5年後にむけて、管理栄養士の皆さん、一緒にがんばりましょうね!
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